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タフな毎日を送る学校教員のためのブログ

#0212 「アレクサンダーさん、声枯れで俳優生命の危機」の巻

「アレクサンダー・テクニークのことを全く知らないので
イチから教えてください」というレッスンになったら

・アレクサンダーさん、声枯れで俳優生命の危機
・アレクサンダーさん、ヒトの動きの原理を発見する
・どんな人がアレクサンダー・テクニークを学んでいるの?

の3本から選んでもらおうと思っている。
今日は第一話。

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フレドリック・マサイアス・アレクサンダーさんは
100年くらい前の、シェークスピア朗唱家です。
舞台で声が枯れるようになって、困っていました。

大事なリサイタルを控えたある日、お医者さんに相談すると
「2週間、声を出さないようにしなさい。そうすれば当日までに治るでしょう」
と言われたので、その通りにしました。

ステージに立つと、声枯れはすっかり治っていました。
でもプログラムの半分もいかないうちに状態が悪くなり
終わる頃には話すこともできなくなって。

再びお医者さんに行ったアレクサンダーさんは、こう迫ります。
「言われた通りにしたのに、リサイタルで声を使い出したら
1時間もたたないうちに枯れ声に戻ってしまった。
それなら、あの夜私が声を使う時にやっていた何かが原因のはずです。
それが何かわかりますか?」

お医者さんには、わかりませんでした。

…ならば、原因を自分自身で探すしかない。
まずアレクサンダーさんは、当時としては珍しい三面鏡を買ってきて
声を出すときに自分がどんなことをしているのか観察しました。
すると、こんなことをやっているのが見えました。

①頭を後ろに引く
②喉のあたりを押しつぶす
③音を立てて口で息をすすりこむ
④足で床をつかむようにして立つ

一緒にやってみましょう。
…声が出しづらいですね。

それなら、喉のあたりを押しつぶすのはやめよう。
息をすすりこまないし、足で床をつかまないぞ。
と、色々試してみたけれど、どうやら一番上手く行くのは
①頭を後ろに引く のをやめることでした。

「頭を後ろに引くのをやめる」ってなんでしょう。
ふかふかの大きな枕を思い浮かべてください。
縦にしてテーブルに置いて、上からぎゅっと押します。
あちこちがデコボコと飛び出しますね。

上からぎゅっと押したままデコボコを一つずつ直そうとしても
別のどこかが飛び出します。
でも、一番上にあるものが押すのをやめたら?
全体がふわっと元に戻りますね。

そんな感じです。

こうしてアレクサンダーさんは
声を出すときに自分がやっていることに気づき
身体のデザインに合ったやり方ができるようになって
やがて声枯れだけでなく、呼吸や鼻の問題も解決していきました。

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書いてみた感想:
動きながら一緒にやったらきっともっと楽しい。

次回、第二話
「アレクサンダーさん、ヒトの動きの原理を発見する」の巻
に続きます。