#0295 生きてるってなあに
個人的にどうしてもコント「テリーとドリー」が脳内再生されてしまうこの話題。大真面目に、福岡伸一博士の本をこの順序で読むことをものすごくオススメする。キャッチーなトピックでこの話題に慣れ親しんだあと、様々な分野の人との対談を通して世界が広がる。
福岡博士は生命を「動的平衡(dynamic equilibrium)にあるシステム」と定義する。その土台となった、シェーンハイマーの研究がある。
体内に取り込まれた栄養はどうなるのか。マウスの体内で燃やされてエネルギーとなり燃えカスが排出されるだろうという仮説のもと、実験が行われた。結果、アミノ酸はバラバラに分解されて全身に散らばり、ありとあらゆる臓器や体組織を構成するタンパク質の一部になった。その間、マウスの体重は増えなかったので、元あったものと置き換えられていることになる。
私たちの体は、通り過ぎつつある分子が一時的に形作っているもの。生命現象は構造ではなく「効果」だという。
「つまりそこにあるのは、流れそのものでしかない。その流れの中で私たちの身体は変わりつつ、かろうじて一定の状態を保っている。その流れ自体が『生きている』ということ」
『新版 動的平衡』p261
思ったことが2つある。ひとつは”You are what you eat.”(人はその食べるところのもの)の意味が、本当に文字通りだということ。物理としてそういうことが起きていると実感して初めて、なるべく身体にいいものを通過させたいと本気で思うようになった。
もうひとつは、「諸行無常」とか「ゆく河の流れは絶えずして」とか文学にうたわれていたのがこういうことだったのかと腑に落ちた。なんだか気が楽になった。
この本からは他にもシェアしたい話題があるので、また。