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タフな毎日を送る学校教員のためのブログ

#0112 ミュシャ展~絵を体験する

大作『スラヴ叙事詩』が話題の展覧会に行った。

お花と女性が美しくデザインされた作品のイメージが
強い、というよりむしろそれしかなかったので
公式サイトで事前に見た時は
ずいぶん違う雰囲気なのだな、とは思っていた。

会場に入ってすぐのところに、その連作は展示されていた。
圧倒された。
視界いっぱい、絵で埋め尽くされる大きさ。

見ているうちに、不思議な感じがしてきた。
展覧会でいつも必ず熱心に読む解説文が
全然頭に入ってこない。

そのうち
星が瞬き始め
雑踏の音が聞こえ
木々が風にゆれるのを見
炎に焼かれ、煙のにおいを嗅ぎ
礼拝堂の静謐な空気を感じた。

絵の前に立つと
そこで起きていることを体験してしまう。
描かれた人達が本当にそこで生きて死んだと
わかってしまう。

そんな作品だった。

制作にあたり、ミュシャはこんな言葉を残していたそうだ。

「私は今まで、上流階級の家を飾るものや
女性の美しさを描いてきて
人生の時間をムダにした。
これからは、祖国のために働く」

その覚悟を、受け取れたような気がした。

何がいつ何時こころに響くかは
わからない。